20代で無名企業のしがない営業から外資マーケティング職に転職。30代で広告代理店、外資系を転々とした末、40代前半で日本の金融機関にマーケティング部長としてヘッドハンティング。転職4回。
twitter: @jobHopper_eight
Contents
代表的な質問
- 今、どんな仕事をしていますか?
- 今までの職務経歴を教えてください。
- どんな商品を扱ってきましたか?
- 仕事上の実績・業績をお聞かせください
- 何か資格・免許を持っていますか?
質問の意図
間接的・直接的に、あなたが求人職務をこなせる人材かどうかを見極めるための最も重要な質問です。
そのため、これらの質問は基本的にどこの会社でもされます。
つまり、こうした質問を通して、うまく自己PRできれば、内定を引き寄せられるわけです。
そこで、どのように答えたらよいのか、架空のサラリーマン「鈴木さん」を例に具体的に説明していきます。
なお、自己PRのできていない人はこちらもご覧ください。
-
軽く考えてない?自己PRの重要性と作り方【転職マニア直伝】
「自分をどうアピールしていいか分からない・・・」 「何回応募しても書類審査さえ通らない・・」 という方のために、 今回は採用選考を勝ち抜くための「自己PRの作り方」をお話し ...
ケーススタディの設定
あなたは?
鈴木義男30才。ヘアカラーメーカーで小売店向けの営業をしている。
応募企業は?
- 東証一部上場の化粧品メーカー。営業を若干名(3名以内)募集。
- 最近業績は下降気味。
- 求人票を見ると、「提案型営業のできる人」が強調されていた。
応募者情報は?
- 老舗の有名企業の安心感、給与水準の高さから応募者多数とのエージェントからの情報。
- 今回求人に応募している人たちは、競合の一流化粧品メーカーの営業が多いらしく、過去中途入社した人たちも同様のバックグランドを持った「即戦力人材」がほとんどとの事。
鈴木さんの自己PRは?
化粧品業界未経験はマイナス。何とか他の点で他応募者を上回りたいが、「提案型営業」のスキルではそんなに差がつかなさそう。
そこで、
- ①「提案営業経験」はマストとして、
- ②ゼニを稼ぐ・目標達成といった泥臭い「コミットメントの強さ」をアピール
して差別化を図ることにした。
また、業界未経験がハンディと取られないよう、
- ③業務習得の速さもアピールすることにした。
質問:今、どんな仕事をしていますか?
面接最初の質問です。鈴木さんは、とりあえず仕事内容の説明の段階で、「提案営業経験」の前振りをしておくことにしました。
私は今、株式会社山本というヘアカラー、毛染め製品を製造販売する会社で、小売店向けの営業をしております。
マツキヨをはじめとする大手ドラッグチェーンと、イオンなどの大手スーパーマーケットを6件担当しております。
日夜、顧客のPOSを分析して、最適な品揃え、山積み・特売品度などを提案し、顧客の売上増加、そしてもちろん弊社の売上を増安ために走り回ってます。
回答例解説
この質問は面接開始直後に投げかけられ、素直にあなたがどんな人か知りたい、という思いから聞いてるだけ。深い意味はないでしょう。
まあ、飲み屋で知り合った人に「仕事は何してるんですか?」と聞くのとそれほど変わりません。
ですが!
回答によっては、面接官は「求人職務と関係ありそうだなあ。どれだけできそうか掘り下げてみよう」と思ったり、一方「これだけじゃ分からないな。別の質問をしてみるか」とちょっと手さぐりになるか、面接の流れが変わります。
そこで、質問にまっすぐ「今、どこの会社でどのような仕事をしているか」答えつつ、後々の自己PRにつながるように、ネタ振りができると自己PRに都合のいいよう、流れを誘導できます。
鈴木さんの場合も、いわゆる化粧品メーカーでいう所の「提案型営業手法なんて日常です」とやんわりとアピールしています。
なお、自己PRにつなげるようにと言っても、次の例のように、あまりにそれが前に出すぎると、そもそもの質問から外れてしまうので注意してください。
自己PRが前に出すぎた回答例
○○銀行◇◇支店で外国為替を担当しております。主に外貨両替と海外送金を担当し、多くの外国のお客様の接します。
先日、母国アメリカに送金するというお客様にシートの書き方をつきっきりでお教えしました。
すると大変喜ばれて「英語でこんなに丁寧に教えてもらったことはない。来月もあなたにお願いする」と握手されました。
仕事、何してますか?と聞かれてるのに、いつの間にか自己PRになってます。聞いた事に「まっすぐ」答えられていませんよね。実は、まっすぐ答えるのは難しいんですが、このようなズレた回答を繰り返すと、「コミュニケーション能力が低い」と判断されてしまいます。
-
【転職マニア解説】こんな事で差がつく!面接での話し方
面接で最も重要なのは質問への答えですが、その答えの中身と同じように重要なのが、「話し方」です。 例の通り、転職マニアの所に、翌日に面接を控えた後輩が相談に来ました。 &nb ...
質問:あなたの職務経歴を教えてください。
鈴木さんは、営業に来る前、システム部で保守の仕事をしていたので、その時の話を「業務習得の速さ」に絡めようとしました。
私は今の会社に新卒で入社し8年目ですが、2つの部署を経験しています。
最初に配属されたのがシステム管理部で、注文や会計のシステムの運用をしていました。まったくの門外漢だったのですが、サッサと仕事を覚えないとダメ扱いされる会社でして、入社3か月目には契約社員の人たちの管理も任されるようになりました。
その後2年目には念願の営業部に配属になり法人を相手にした提案営業に勤しんでいます・・・・。
回答例解説
この質問は、転職をしていたり、1つの会社でも複数の部署で職歴を積んでいる場合に聞かれます。
質問の意図としては、最初の質問と同じですので、できるだけ自己PRにつながるようネタ振りするのがコツです。
質問:どんな商品を扱ってきましたか?
鈴木さんの扱ってきた商品は毛染め製品で、応募先の化粧品とは違います。ただ、販売チャネルがほぼ一緒、女性がターゲットと言う共通点がある点を強調することにしました。
女性向けのヘアカラーです。ドラッグやスーパーマーケットなどで販売しています。
回答例解説
解説するまでもないのですが、一応。
企業側は自社の商品は他と違って売るのが難しいと考える傾向があります(考えたい?)。そのため、同じ商品でなくとも、類似性があると評価が上がります。
質問:仕事上の実績・業績をお聞かせください。
待ってました!鈴木さんは、用意してきた自己PR、つまり、①「提案営業経験」はマストとして、あくまで②ゼニを稼ぐ・目標達成といった泥臭い「コミットメントの強さ」をアピールすることにした。
また、業界未経験がハンディと取られないよう、③業務習得の速さもアピールすることにしました。
私は入社8年目なのですが、若いうちは苦しんだものの、ここ最近は4年間売上を伸ばし続けています。その要因は、絶対に売上目標を達成すると言うコミットが強まったことです。(←話が長いので、一度ここで切る)
恥ずかしながら5年前までの私は「提案型営業」を言い訳にして、目標数字を行かなくても、顧客の小売店の売上が伸びれば仕事をした気になっていました。(←昔の自分を引き合いに他候補者との差を明確化)
しかし、4年前、売上目標が一気に引き上げられ、どうやっても達成できない!と途方に暮れたことがあったんです。
その際、どれだけ棚スペースのシェアをとっても目標に届かず、これは最終的にはヘアカラーの定番棚のスペースごと広げないとムリだな思って、ダメもとで、懇意にしていた小売店のバイヤーに提案に行ったんです。
「シャンプーなど全部含めたヘアケアカテゴリー全般のカテゴリーマネジメントを私に任せてもらったら、バイヤーの数字行かせますよ。やらせてください?」と。
そうしたら意外にもバイヤーは「やれるもんならやってみな」。
私のこれまでの提案を認めてくれていたらしく、チャンスをくれました。
そこで、POSデータ(の一部)をバイヤーからもらって、シロウトながらシャンプーの事とか必死に勉強しながら分析したところ、当社商品の値入をちょっと改善すれば、ヘアカラーの棚を1.5倍にしても、ヘアケアカテゴリー全体の売上・利益がかなり改善できるという計算結果が出たんです。(←全然知らないカテゴリーの分析も短時間でやれる事をアピール)
で、すぐにバイヤーに報告したら面白がってくれまして、それからとんとん拍子に、テスト店での実施にこぎつけ、最終的には主要店舗にも展開することになりました。
結果として、バイヤーのカテゴリー売上・利益アップに貢献でき、さらに、私も売上目標を達成できました。
たまたま、良いバイヤーに巡り合い、先方も数字に困っていたという経緯もあったんです。でも。この経験を機に、どんな高い目標も何かしら方法があるはず、あきらめなければ方法があると信じられるようになり、数字をやり抜く意識が強くなりました。(←改めてコミットの強さをアピール)
回答例解説
ここが、面接でのクライマックスです。存分に準備した自己PRに基づき、これまでにアピールしていないポイントを分かりやすく説明します。
鈴木さんは、①提案型営業、②売上達成への執念、③そしてヘアケア全体のPOS分析を短時間でやったことを説明し「業務習得スピードの速さ」もアピールしました。
その際のコツはいくつかあります。
実績を良く見えるよう"翻訳"する
上で鈴木さんは「4年連続売り上げを伸ばしている」と言ってますが、実は売上目標は2年達成できていません。そこで、言い方を変えて前年と比べて「売上を伸ばしている」とだけ言いました。
このように、前年と比べたり、全社平均と比べたり、市場平均と比べたり、して何とか自分の実績が良く見える比較対象を探します。
ウソじゃないかって?
ウソではありません。事実を別の角度から述べただけです(笑)。まあ、これくらいは企業の業績報告書でもやってるレベルの「言い換え」なので許容範囲でしょう。
-
誇張・ウソ・経歴詐称、どこまで許される?【転職マニア解説】
できもしないことをできると言ったり、やってもいない事をやったと言ったり、つまりウソはダメです。 なぜなら、転職先の会社に迷惑をかけるからです。 もっと言うと、たとえ会社が実害をこうむらなくても、経歴を ...
自慢話に聞こえないように
実績のアピールは、聞く側からすると、単なる自慢話に聞こえる事があります。別にアピールなんでそれでもいいと思うんですが、面接官によっては「そんなにスゴイか?」と挑戦心をかきたてられてツッコミが激しくなる場合もあります。
となると面倒なので、実際は日本人の美徳(?)、謙譲的な目線で話すといいと思います。
鈴木さんの例で言うと、「若い時は苦しんだ」とか「途方に暮れた」という苦労話を交えたり、「いいバイヤーに会った」と言った謙遜が混じると、「自慢感」が減ります。
質問:何か資格・免許を持っていますか?
普通自動車免許くらいしかありません。
回答例解説
業務で必須だったり、役に立つ資格や免許はぜひアピールしたい所ですが、なければないで構いません。
これまでの4つの質問と比べると重要度はグッと落ちます。
以上です。
繰り返しますが、これらの質問への回答が内定を決定づけます。
そのために重要なのは、まずは自己PRを固める事。
-
軽く考えてない?自己PRの重要性と作り方【転職マニア直伝】
「自分をどうアピールしていいか分からない・・・」 「何回応募しても書類審査さえ通らない・・」 という方のために、 今回は採用選考を勝ち抜くための「自己PRの作り方」をお話し ...
頑張ってください。