20代で無名企業のしがない営業から外資マーケティング職に転職。30代で広告代理店、外資系を転々とした末、40代前半で日本の金融機関にマーケティング部長としてヘッドハンティング。転職4回。
twitter: @jobHopper_eight
志望動機、悩みますよね。私も若い頃は悩んでいました。
でも、「思い込み」から解放されると、楽に作れるようになりました。
志望動機は何を言ってもいい
他人の志望動機に、よく、「他の人と差別化が図れていないよ」とか「もっと相手を感心させるような動機を語らないと!」とか言ってくる人がいますが、(まあ、そうできればベターなんでしょうが)実際はそんなものはなくても全く問題ありません。
なぜなら、誤解を恐れずに言うと、志望動機はさほど重要ではないからです。
志望動機はそれほど重要ではない
志望動機がどれくらい重視されないかというと、ヘッドハンティングを例にとると分かりやすいと思います。
皆さんご存知の通り、ヘッドハンティングというのは、他社の優秀な人材を自社に引っ張ってくるものですが、「引っ張られた」人にしてみたら突然知らない人から声がかかって、よく知らない会社への転職を誘われるわけですから、志望動機も何も、志望さえしていません。
それでも、企業は欲しい。
「仕事ができる」からです。
これは、「ヘッドハンティング」に限られた話ではなく、中途採用全般にあてはまります(ヘッドハンティングも中途採用ですよ 🙂 )。
企業が中途採用をするのは、「ある仕事をこなせる人材が、社内にいない、または足りない」からです。
だから採用基準は、その仕事をこなせる能力があるか?、具体的にはスキルや経験があるか?が最も重要です。
志望動機なんて二の次です。
私の話をしますと、28才での転職を皮切りに4回会社を変え、その間、数十社で面接を受けてきましたが、感覚としては半分以上の面接では、そもそも志望動機なんて聞かれさえしませんでした。
自分で採用面接官をする時も、一度も志望動機を聞いた事がありません。
その程度なんです。
それは新卒採用の時のイメージからきてるんでしょうね。学生は基本的に仕事経験がないと思われているので、志望動機、そこから透けて見える人間性、コミュニケーション能力など、「仕事力」以外を採用基準にするしかないからです。
でも、中途採用は違います。決め手は、あくまで仕事力(経験、スキル、実績)、というのは先ほど言った通りです。
ちなみに、本当は学生だって、志望企業での仕事に生かせそうなバイト経験・スキルがあるなら、それを前面に出してアピールすべきです。
よっぽど人材難で「ヤル気さえあれば誰でもいい!」会社なら別ですが、残念ながら、それでは内定は難しいでしょう(「仕事力のアピール法」は別記事で紹介してます)。
自由に答えよう!サッサと片付けよう!
それでは聞かれたらどう答えたらいいのでしょうか?
ハッキリ言って、
何を言っても、書いても構いません。
そもそも、その企業を志望する動機に良いも悪いもないんです。あなたが思っていることを素直に自信を持って語ればいいんです。
どこまで素直に言っていいかというと、例えば、これは新卒の時の話ですが、私史上最高にアホな志望動機はA〇Aのパイロット職のもの。
と聞かれ、アホみたいな顔して、
と正直に答えました。
面接部屋の空気は凍り付きましたが、通りました(その後、身体検査で不合格)。
新卒採用でもこの程度で通るんですから、「何か気の利いた事を言わなければいけない!」とか悩んで多くの時間をさくのはムダです。
「最低レベルをクリアすればいい」と割り切って当たり障りのない回答をサッサと作り、もっとスキルや経験、実績アピールの回答作りに時間をさいた方がよっぽど内定に近づきます。
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ただ、「自由に」、「好きに」と言うと、極端な勘違いをされる人がいないとも限らないので、念のため!守らないといけないポイントに触れておきます。
非常に当り前の事ばかりなので読み飛ばしていただいても結構です 🙂 。
相手に理解してもらえるよう説明する
何を言ってもいいとはいえ、相手に納得してもらえるように話す、説明するのは、あらゆるコミュニケーションの大原則ですよね。
当たり前すぎますが、採用選考となると、なぜか、それを忘れちゃう人がいます。
3つあります。
1.独りよがりではダメ
先ほどの私のAN〇のパイロット試験の話には続きがあります。
面接官の顔を見て「ヤバっ!理解されてない、って言うか怒らせた?」と思い、続けて「カッコいいなどという基準で生涯の仕事を決めて良いのかと思われるかもしれませんが、私にとって仕事とは・・・」云々と仕事観とつなげて言いつくろいました。結果、面接官の方々の顔に笑顔が浮かんだのを覚えています。
これは極端な例ですが、何を言ってもいいとはいえ、必ず相手に「ああ、そう言う事ね」程度には理解されるよう説明することが必要です。
独りよがりな例1
例えばこれはどうでしょう?
絶対にダメとは言いませんが(私は全然OKです)、ネガティブに受け取る採用担当者は多いでしょう。
では、これは?
最初ほど印象が悪くないですよね。
これは、「会社のネームバリューや給料といった上っ面の条件に引き寄せられた薄っぺらいヤツ」と思われるのを見越して、それなりに説明を加えたからです。
独りよがりな例2
今度は、もう少し「ありがち」な例を見てみましょう。
いいですよね。やりたいんだからしょうがない!
でも、これだけだと、説明が足りませんよね。聞いてる側は「でっ?」ってなります。「だから何?」と。
中には「あなたのやりたいことをやらせてあげるためにウチの会社がある訳じゃないんだけど」と思うイジワルな採用担当者がいるかもしれません。
ではどうしたらいいでしょう?
一例ですが、自分がいかに販売員の仕事が好きかをアピールする。
そのために、接客業のバイトをした時の楽しかった話をしたり、今の会社で販売員を志望し何度も断られていることを話したり、自分がいかに販売職に向いているかコミットの強さを語ってみたりする。
そうすると、「ああ、この人は本当に販売職をしたいんだなあ」、「向いてるかもなあ」と共感が生まれてきます。
普段の人付き合いと一緒
あまり難しく考える必要はありません。みなさんの普段の行動と一緒です。
例えば、友人とのおしゃべりで、一方的に思い(愚痴・自慢話等)を語られても「コイツ、自分の話ばっかりで疲れる・・」って正直思いますよね。
だから「自分はそうならないようしよう!」と気を付けて話しませんか?
それと全く同じです。
別に、面白い話をする必要はありませんよ。感心させる必要もありません。
ただ、相手がせめて「ああ、なるほどね」「そういうことね」と少しは共感できるよう、相手の関心に引き寄せて説明する。
それだけです。
2.抽象的すぎてはダメ
とか
だけでは、さすがに動機が漠然としすぎていて「なぜウチの求人票に目を付けたんだろう?」と疑問に思われるかもしれませんので、もう少し具体的に説明する必要があります。
では、どこまでの具体性が必要でしょうか?
一般に、志望動機には、
- その「業界」を志望した理由
- その「会社」を志望した理由
- その「職種」を志望した理由
の3つがありますが、最低2があれば成立します。
例えば、「御社の新しいことにチャレンジする姿勢に惹かれました」的な事です。
よくありますよね。「その会社に思い入れなんてねーよ!」って場合は、とりあえず、1の「業界」を選んだ理由と、3の「職種」を選んだ理由の両方を説明してください。
私の経験上、中途採用では、これ以上突っ込まれることは普通ありません。突っ込んでくるとしたらどうでもいい質問にこだわる相当イジワルで頭の悪い奴です*。
*「厳密には上の2が含まれなければ志望動機になっていない」と言う人もいるかもしれませんが、現実には特定の会社でなければいけない理由なんてそうそうありませんし、そもそも仕事力とは直接関係ない質問ですから、そこに論理的な厳密性を求めて時間を使ってる時点でピントがズレています。
**「志望動機くらい創作できる頭は持っていて欲しい」と反論する人もいますが、作り話を他人にスラスラ語れる"頭"がどれだけ重要なのでしょうか?それが、面接という限られた時間内で見極めなければいけないほど優先順位の高い能力だとしたら相当ヤバい会社です。
となると、さっきの話=その会社を選んだ理由を考えなくてはならなくなります。
相手は「なんで?なんでオレが好きなの?」としつこく聞いてきてるわけですから(気持ちの悪い奴です)、それを話してやるしかありません。
たとえ思い入れがなくとも、無理くり!そこのブランドや商品、サービスが好き、ホームページに載っていた社員の話が気に入った的な話を、できるだけ具体的に話してやりましょう。
ちなみに、ファッションやエンタメ、ブランド系といった愛社精神が強い会社や業界の場合に「どうしてウチが好きなの?」と聞いてくる傾向が強いので、注意しておきましょう。
そこでうまく答えられないと「私がこんなに好きな会社の事をあなたは好きじゃないのね」的に落とされることがあります(ありました)。
ハハハ(笑)。ナルホド君のおっしゃる通り、それができれば、それで構いません。
でも、バリバリさんのように、好きでもないのに好きと"大上段"に言うのに抵抗ある人もいると思います。これは、そうした「できればウソをつきたくない人」向けの回答法です。
3.他の回答と矛盾してはダメ
採用選考者は、志望動機を、転職理由や入社したらやりたい事、現在の会社に入った理由とつなげて考えます。
なので、それぞれの回答が矛盾していると「あれ?この人、さっき言ってた"将来の夢"と矛盾したこと言ってる」、「その場限りの思い付きで話すタイプだな」とネガティブな印象を持たれてしまいます。
例えば、「販売職の仕事がずっとしたかった」と志望動機で語ったのに、今までアルバイトでも販売職を経験したことがなかったり、今後やりたいことを聞かれて実は事務職に興味があると言われたら、「?」となりますよね。
ちなみに、誤解がないように言っておきますが、別にアルバイトをしたこともない職種を志望してもいいんですよ。
理由さえ説明できれば。
例えば、上の例なら、
- 販売職に興味を持ったのはアルバイトをしていた学生時代ではなく、現在の会社に入ってからで、
- 接客業に興味があるというよりも目標を達成した時の達成感が好きで、それなら会社の売上を支える最前線の販売職が一番達成感を得られると思った
とか適当に答えればいいんです。
でも、それがなくて、「こっちで言ってること」と「あっちで言ってたこと」の間をつなぐ説明がない=バラバラに見えると、それだけで不採用にはならないかもしれませんが、マイナス点がつくことになります。
志望動機をカンタンに作る方法
ココまでの話を読んで、
となる人もいるかもしれませんが、そんなに難しく考える必要はありません。
求人票から引っ張ってくればいい
求人票には、候補者を引き付けようと「うちの会社はこんな所がいい!」と色々なことがアピールされています。それを志望動機にしちゃえばいいんです。
この際気を付けるのは、相手の会社のアピール点をほめることになる⇒今の会社を「落とす」(ディスる?)ことになるので、現状に不満たらたらの単なる「不満分子」に聞こえないよう説明するのがポイントです。
求人票から引っ張る:例1
これは「コールセンター管理の職種」の求人票に書かれていた"先輩"の体験談です。
「もっと新しい仕事に挑戦したい」と書いてあるので、これを志望動機にしたらいいんです。
もちろん、こう話すと、
と聞かれるでしょうから、上の人のように、
的に返したらいいでしょう。
実際は、上くらいの回答では具体性に乏しいので、面接では「具体的にはどういう点が消極的ですか?」、「あなたは今までに新しいことを提案したことがありますか?」などと突っ込まれる可能性があります。
ですので、もう少し具体的な例を出して説明できるよう「ヘリクツ」を準備しておきましょう。
求人票から引っ張る:例2
これも別の求人票に載っていた先輩の体験談。
福利厚生の充実度や確実な賞与支給をアピールする会社が最近増えていますので、これを志望理由にしても構いません。
ただし、ここでも、今の会社の福利厚生や給料のどこが不満なのかと言ったことを聞かれる可能性がありますので、そこは「楽して稼ぎたいだけじゃないか」と思われないよう続けて説明する必要があります。例えば、
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キャリアプランとつなげて説明する
求人票から引っ張ってこなくとも他にもいい方法があります。
先ほども言いましたが、志望動機や転職理由、現在の会社を志望した理由、入社してやりたい事、将来なりたい自分といった質問はすべて、「キャリアプラン」に関わる質問としてまとめると、回答が作りやすいし、回答が首尾一貫するので評価が高くなります。
「求人票から引用する」より難しいですが、企業側が好きな、「1本芯の通った」しっかりした人間に演出できます。
ちょっと試してみてください。
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志望動機の回答例
志望動機は好きに作っていいんで、例なんて要らないんですが、一応載せておきますね。
途中で切れてるのは、その後はどうつなげてもいい、ということです。
先ほど言った3つの志望動機が入ってないのもありますけど、好きなように追加してOKです。
その1:業界の成長性から理由付けする
成長著しいIT業界の中でも有望な御社で働きたいと思ったからです。
言うまでもなく、世の中の流れを見ると、元気の良い会社は軒並みIT系の会社ばかり。一方、私のいる○○業界は市場縮小の影響で、どの企業も売上・利益減のトレンドから抜け出せないのが現状です。
苦境をから抜け出すためにどうすべきか?と考えるのも大変やりがいがあるのですが、一方で、IT業界のように大きく成長する業界でさらなる成長を目指すのはどれだけ面白いのだろうとワクワクしてしまいます。
イロイロと将来に悩みIT業界についてもしろうとなりに調べた所・・・・
その2:会社愛を語る
御社を志望したのは御社で働くことが夢だったからです。
幼少の頃からおしゃれするのが好きで、特にお化粧になぜか異常に興味があって、母の化粧道具を使ってよく遊びでお化粧していました。
小学校の頃には既に、将来は化粧品会社で働くと決めていました。
その中でも御社は、私の母が使っていた影響で私も使ってきて最も愛着があります。残念ながら新卒では化粧品業界には行けなかったのですが、その夢を捨てきれず・・・。
その3:職種愛から語る
接客をするなら御社しかないと思ったからです。
私は学生時代にアルバイトで接客の仕事を始めて以来その魅力に取りつかれ、今の会社に就職したのもお客様の笑顔を見たいという思いからだったのですが、配属はお客様との接点のない総務部に配属になってしまいました。
総務での仕事にもやりがいを感じていましたが、それでもやはり接客への希望を捨てきれませんでした。そこで、何度も上司に接客をする部署への異動をお願いしたのですが、「望み薄」と言われていました。
そんな時出会ったのが御社のお店でした・・・。
その4:職場環境から語る
女性が女性らしく働ける環境を整えている御社にひかれたからです。今の職場は・・・
これら以外にも無数に考えられます。
先ほど話した失敗例に気を付けさえすれば、みなさんが話しやすいよう、好き勝手に作ってOKです。
なお、関連質問には転職理由もあります。こちらの記事もご参考に。
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ちなみに、「仕事力のアピール法」はこちらの記事もどうぞ。
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私も最初は「経歴とか実績なんて言えるものが何もない・・」と悩みましたが、「自分のやってきたこと」を整理し、その中で求人企業が気に入りそうなものはないか?アレコレ無理くり絞り出していたら、「経歴」「実績 ...
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「自分をどうアピールしていいか分からない・・・」 「何回応募しても書類審査さえ通らない・・」 という方のために、 今回は採用選考を勝ち抜くための「自己PRの作り方」をお話し ...