20代で無名企業のしがない営業から外資マーケティング職に転職。30代で広告代理店、外資系を転々とした末、40代前半で日本の金融機関にマーケティング部長としてヘッドハンティング。転職4回。
twitter: @jobHopper_eight
桐谷さん
エイトさん、また相談に来ました。
エイト
桐谷さん、よし子さん、今度は何ですか?
よし子さん
先日は30代の転職のポイントを教えてもらいましてありがとうございました。
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【転職マニア解説】30代の転職のポイント
Contents1 30代の悩み1.1 私のやるべき仕事はこれじゃない・・。2 30代転職具体例2.1 外資から広告代理店に転職2.2 広告代理店から外資に転職3 30代は ...
桐谷さん
今回は、「未経験歓迎」の求人の攻略法を教えてもらいに来ました。
Contents
未経験者歓迎の求人の実態
桐谷さん
俺は今営業ですが、企画職への転職を考えています。
よし子さん
私は今、総務ですが、具体的な職種を決めてはいませんが、他の仕事がしたいと思っています。
エイト
なるほど。だから、お二人とも未経験者でも受け入れてくれる求人を探してるわけですね。
桐谷さん
そうです。
エイト
今、桐谷さんが32才ですよね?よし子さんは桐谷さんと同期でしたっけ?
よし子さん
はい。
エイト
第2新卒と言えるほどの年齢ではないですね。
よし子さん
まあ、そうですよね(笑)。
エイト
とすると、ポテンシャル採用してくれる企業、または職種は相当絞られます。
桐谷さん
ですよねえ。やっぱり、職種を変えるのは難しいですよね?
エイト
簡単ではありませんが、可能性はあります。30代の未経験者を一から研修してでも欲しい業界や会社はいつでもありますので。
桐谷さん
なるほど。
エイト
でも、求人の中には注意を要するものもあるので見極めが重要です。
未経験者歓迎求人の種類
エイト
ここで「未経験者歓迎」の求人を、求人企業の意図で場合分けしてみました。
桐谷さん
はい。
エイト
実際の”未経験者歓迎”の求人数百の情報と、私自身の経験を踏まえると、次の3つに大別されると思います。
- 経験者ではなく未経験者が欲しい
- 経験者でも未経験者でもどちらでも良い
- 本当は経験者が欲しい・・・
1.経験者ではなく未経験者が欲しい
エイト
よくあるのが、”色のついていない”フレッシュな人材が欲しいという求人です。
桐谷さん
こういうのが良いですねえ。
エイト
例えば、私が外資メーカーから広告代理店に新規事業開発に行った時は、先方が「業界」の色に染まっていないフレッシュな人材が欲しいという意向でした。
桐谷さん
“業界”の色という事は、"職種"に関しては経験者を欲しがってたんでしょうか?
エイト
そうですね。「未経験者が欲しい」という場合は”業界”未経験者を指していて、”職種”に関しては経験者が欲しいというケースが多いです。
2.どちらでも良い
エイト
“どちらでも良い”、つまり経験があろうがなかろうが関係ないという方針の会社ですね。
桐谷さん
基本的には経験があっても邪魔ではないですよね?
エイト
そうですね。でも、経験があまり有利に働かない次のような業界・職種だと、こういう考え方をします。
頭脳労働系
エイト
コンサルティング業界でこの手の考えの会社は多いです。あと一部の外資ですね。
桐谷さん
そうなんですね。
エイト
私が最初に転職した外資系メーカーは、「企画職は頭が勝負だから経験は関係ない」という方針だったので未経験者可でした。
桐谷さん
なるほど。
エイト
ちなみに、こういう会社は研修が充実していることが多いです。
桐谷さん
それは理想的ですね。
事前知識をあまり必要としない職種
エイト
あとは、知識の有無があまり仕事上関係ない職種の場合、未経験者歓迎になることもあります。サポート業務とかですね。
桐谷さん
なるほど。
3.本当は経験者が良いけど・・
エイト
本当は経験者が良いけれど、それだと応募者が集まらないので「未経験者歓迎」としているケースですね。「未経験者歓迎」求人では、これが圧倒的に多いです。
人気のない業界・職種
エイト
人気のない業界や職種の場合は、経験者が欲しくても、それを条件にしてしまうと人が集まりませんよね。
桐谷さん
ですね。
エイト
例えば、不動産業界・住宅業界を始めとする営業職や、接客・販売職種、飲食業界、最近だとSEも未経験者歓迎としているものが多いです。
よし子さん
なんとなく仕事がきつそうなイメージですね。
エイト
確かにそういう印象はあるかもしれませんね。おそらく、離職率も高いはずです。年がら年中募集している会社もありますからね。
桐谷さん
ブラックですか(笑)
エイト
とは言えません。これも本人のとらえ方次第です。
エイト
研修などサポートが充実していることも多いし、その結果、資格を取れることもあります。その後のキャリアで食いっぱぐれない人材になれるとも言えます。
桐谷さん
そういう考え方もあるかあ。
人気のない会社
エイト
あと、業界は人気があってもあそこだけには行ってはいけないみたいな評判の会社もありますよね。
桐谷さん
ありますね。具体名は挙げられないけど。
エイト
一方で、新興企業でよくありますが、無名の優良企業というのもあります。こういう会社はねらい目ですよね。
桐谷さん
なるほど。
エイト
例えば、20年近く前の話ですが、ソフトバンクとかアマゾンがそうでした。
よし子さん
へえー。今じゃ超人気企業なのに信じられませんね。
エイト
アマゾンなんかはまだネットで買い物する人がそれほどいない時代でしたから、転職者に「そんなとこに行って大丈夫か?つぶれるんじゃないか?やめとけって!」と説得した事がありましたね。
30代の未経験者可の企画職の求人の現実
「30代」x「未経験者可」x「企画職」は非常に少ない
エイト
以上のような"現実"を踏まえて、お二人の転職可能性を見てみます。
エイト
まず桐谷さんの場合は、難しいことは難しいです。営業から企画職への転職ですからね。これが逆ならいくらでもあるんですが。
桐谷さん
そうですか。見つからないはずです・・・。
企画職をポテンシャル採用する会社もある
エイト
でも可能性はないことはないです。先ほどの例で言うと”2”のタイプの未経験者歓迎求人ですね。
桐谷さん
そうですか。
エイト
例えば、私の在籍した外資系企業では企画職に30代の元営業の人を採用することもありましたので。
桐谷さん
なるほど。
エイト
先ほども言いましたが、そもそも企画職は知識ではなく頭で勝負する職種ですから、会社の方針によっては経験の有無を問わない所も時々あります。
桐谷さん
はい。
エイト
別の例で言うと、金型商社のミスミという会社は、”V字回復”という言葉をはやらした元ボストンコンサルティングの三枝さんが社長に就くと(今の会長)、「未経験者歓迎!」で幹部候補生を募ったことがありました。
桐谷さん
へえー。
エイト
彼も経験よりも頭の良さや考え方に重きを置くタイプだと思いました。
よし子さん
ちなみに、「思いました」って、エイトさん、そこも受けたんですか?
エイト
受けましたが、最終面接で落とされました。
よし子さん
なぜですか?
エイト
「入社するかどうかは最終面接が終わったら決めます」と言ったら他の役員の人たちは「そうだよなあ、簡単に決められないよなあ」と笑ってたのに、三枝さんがキレ出して。
よし子さん
ええー。
エイト
『こんなヤツを最終面接まで残すってどういうことだ!』って面接の冒頭で怒られまして。
よし子さん
っていうか、エイトさん、なんでそんなこと言うんですか?普通に「内定出たら御社に行きます!」って言えばいいじゃないですか!
エイト
ウソがつけないんですよ。
よし子さん
っていうかかアホですね。
エイト
・・・。 😀
オーナー会社も狙い目
エイト
あと私の経験では、オーナー系の会社のように一代で大きくなった会社だとポテンシャル採用をする事がありますね。
桐谷さん
そうなんですね。
エイト
たぶんご自分の経験から、「ヤル気があれば何でもできる!」という哲学なんだと思います。
桐谷さん
何か聞いた事あるフレーズですね。「元気があれば…」みたいな(笑)。
エイト
私の経験では、昔、大阪の会社で社会保険労務士の会社があったんですが、そこのオーナーにいたく気に入られたことがありまして、
桐谷さん
社会保険労務士?これまた畑が全然違いますね。
エイト
ですね。本命の会社の前に練習で受けた会社だったんですけど、「君みたいなダメ人間はオレが鍛え直してやる!ウチに来い!」と誘っていただいた事がありました。
桐谷さん
へえー。
エイト
オーナーにしてみたら「経験なんてどうでもいい、そんなものは後からいくらでもついてくる。重要なのは人間性だ」ってことだったらしいです。
桐谷さん
なるほど。「ダメ人間」ってダメ出ししているのに"人間性"って(笑)
エイト
"人間性"というと大げさですけど、そのオーナーとの相性みたいなものも重視されるんでしょうね。
重要なのは、とにかく求人情報網を張り巡らす事!
エイト
ただ、こうした求人が出てくることは非常にまれで、いつ出てくるか分かりません。
桐谷さん
はい。
エイト
なので、たくさんの転職サイトに登録して、できる限り多くの求人情報をチェックしておいた方が良いですね。
桐谷さん
分かりました。
よし子さん
エイトさん、私の場合はどうでしょう?
総務職→総務じゃない仕事
エイト
よし子さんの場合は、桐谷さんと違って、ストライクゾーンが広いですので、選択肢はたくさんあると思います。
エイト
なので、実際に応募して色んな会社の人に会ったりして、自分のやりたいことを明確にしていったらいいと思います。
よし子さん
分かりました。
エイト
ただ、これは桐谷さんにも言えるんですが、先ほど話した3番目の「本当は経験者が良いけど人気がないので未経験でもよし」としている求人はしっかり見極めた方が良いですね。
「未経験者歓迎」理由を見極める
エイト
人気がない理由が何か?事前に分かっておかないと、入社してから「こんなはずじゃなかった」と転職が失敗に終わる恐れがありますよね。
よし子さん
ですね。
エイト
人気のない理由がただ単に”無名”というだけの事なら、良い求人の可能性があります。
よし子さん
先ほどのアマゾンみたいな話ですね。
エイト
ええ。一方、その会社や業界の評判の悪い場合は、その会社の事を良く見極めたいですね。
よし子さん
はい。
エイト
実際に会って話してみたら、エージェントからの情報通り、やっぱり給与も上がらない、残業が多い、休みが取れないなんて場合はよくあります。
よし子さん
なるほど。
エイト
また、確かに評判通り、仕事は大変だし、続けられずに辞める人も多いけれど、面倒見がすごく良くて、サポート体制がしっかりしている会社もあります。
よし子さん
なるほど。
エイト
そういう意味でも、実際に会ってみて自分がどう感じるか?肌感覚は重要だと思います。
上司になる人との相性は必ず確認!
エイト
特に実際に一緒に働くことになる直属の上司にはぜひ会った方が良いです。
エイト
面接で会えなかったら、内定が出た後に、ぜひお願いして会わせてもらう事をおすすめします。
よし子さん
会わせてもらえるものなんですか?
エイト
ええ。「上司にも面接して欲しい」、「実際の現場で起こっていることをもっと教えて欲しい」と誠心誠意お願いすれば会わせてくれるはずです。ちなみに、私は必ず会わせてもらってました。
よし子さん
そうなんですね。でも、そこで上司の受けが悪くて内定を取り消されたら困りますね。
エイト
それなら、気の合わない上司と働かずに済んでラッキーじゃないですか。入社して上司とうまくいかなかったら地獄ですよ。
よし子さん
そうか、なるほど。そうとも言えますね。
ブラック企業で働いた経歴も役に立つ?
エイト
ちなみに、ブラック企業で働くことがすべて悪いという訳ではないですよ。
桐谷さん
どういうことですか?
エイト
ブラック企業で、ある程度働くと「あの会社で働いてたら大丈夫だね!」と"はく"が付くこともありますからね。
桐谷さん
アメリカの海兵隊みたいですね。
エイト
まあ、そんな感じです。例えば、私が以前働いていた会社は、一時期業績が悪くて人がたくさん辞め、その人たちがその会社の悪口を言いふらしていた事がありました。
桐谷さん
なるほど。
エイト
そんな時、ある初対面のエージェントが、「あんなひどい会社に6年もいるんですか?スゴイ猛者(もさ)ですねえ!今ならそれだけで売りになります!」と言われたことがありました。
桐谷さん
ハハハ!何がどう転ぶか分かりませんね。
エイト
人それぞれ受け取り方は違うし、たとえその時は悪い印象でも後々良い方向に転ぶこともありますし。
桐谷さん
ですね。ブラック企業に行こうかなあ(笑)。
エイト
いやいや。私の言いたいのは、「未経験者歓迎!」求人にありがちなブラック企業の見極めも、考え方次第な部分がある、という事です。
桐谷さん
分かりました。
「未経験者歓迎」求人で勝つポイント
類似経験をアピールすべし!
エイト
「未経験者歓迎」求人でも、経験があれば積極的にアピールすべきです。そのものずばりの経験でなくても似たような経験があればアピールした方がプラスです。
桐谷さん
ということですね。未経験者「歓迎」と聞くと未経験の素人(しろうと)っぽさが重要なのかと思ってました。
エイト
そういう場合もありますが、非常にまれだという話は先ほどしましたね。ほとんどは、「経験者が欲しいけど・・・」のタイプの求人ですからね。
桐谷さん
ですよね。とすると、そもそも「未経験者歓迎」という言葉自体、変じゃないですか?本当は「未経験者可」ですよね?
エイト
おっしゃる通りです。ここら辺の、言い回しで誤解させて、応募を促そうとするやり口が気に入りませんが、こうしたやり方が横行していますので注意です。
桐谷さん
ブラックですねえ。
エイト
何でもかんでも”ブラック”という訳ではないですよ。
桐谷さん
スミマセン。
エイト
ただ単に転職サイトの営業に勧められて、求人企業側のアホな担当者が考えなしに、言われるがままに使ってるだけかもしれませんしね。
桐谷さん
ハハハ、なるほど。